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2008年
03月
12日
(水)
21:40*!> >
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緩やかな流れをしている川を意味も無く眺めながら歩く。
夕焼けの暖かな色を帯びた光が水面に反射して光が踊る。 見慣れた、だが、いつ見ても零幸を飽きさせない光景、小さい頃から見てきた零幸の好きなモノの一つだった。 この景色を見ているといろんなことが思い起こされる。 例えばそれは、もうこの世にはいない両親のことだとか、小さい頃の思いでだとか、今自分が大家をしている古臭いアパートのことだとか、そこに住むいろんな意味で飛び越えてしまっている住人たちのことだとか、そのアパートに押し入ろうとしている輩のことだったりする。 ふと、視線を正面に戻すと自分の前に自分と同じ方向に歩いている者がいた。 まぁ、つまり顔が見えない。 さきほど居なかったのに現われたのは、恐らく見ていた方向と逆の斜面から上ってきたのだろうと予測をつける。 誰だろう? 見覚えの無い後姿だ。 このハ短町は、ご近所付き合いが盛んで、町の者は皆家族のような連帯感がある。 なので、知らない人が町内に居る方が珍しいのだ。 はじめは見える白い髪から老人かと思ったが、背筋もしゃんとしているし、その背中はどことなく自分と同じぐらいの年齢の物のように感じた。 あ、ずっこけた。 それはもう盛大に。 何も無い所で。 どんだけ鈍いんだよ。 こけて倒れたまま動かない人物とそのまま歩き続ける空の差はどんどんちぢまり、ついに目の前まで達した。 とても放って通り過ぎられないので、しゃがみ込み大丈夫かと声をかける。 声をかけられた方はうぅ、と少し唸りながら顔をあげる。 少年だった。 自分と同じぐらいの。 肌は若い女の子が羨ましがるような白で、近くでみた白髪は陽の光りを映して暖かく染まっていた。 蒼い透き通る空のような色をした瞳と視線が交わる。 綺麗だと思った。 思わず見とれてしまうほどに。 「あ、あの、ありがとうございました」 相手の声でようやく我に返る。 「いや、放っておけなかっただけで・・・」 「それでもいいんです。ありがとう」 そういって笑う彼は正直天使のようだった。 「天使みたい・・・」 「へ!?それ思ってもいっちゃダメですよ!?」 「いっちゃダメなのか?」 「ダメです!!」 少しむくれたようにした彼はどうやら『天使』という言葉が嫌いのようだ。 まぁ、天使と言われて喜ぶ男はいないと思うが・・・。 剥きになる姿が可愛らしくて思わず笑みがこぼれる。 「笑ってもダメですよ!?」 「はいはい」 軽くあしらい立ち上がる。 「それじゃぁ、行く先があるんで」 「あ、はいそれじゃぁ、本当にありがとうございました」 そう言って、二人は目の前で分かれていた道を、逆の方向に背を向かい合わせるようにしてその場から歩み去る。 夕焼けの光りが辺り一面を包み込んで橙色に染め上げる。 再び会うことになるであろう二人を。 |
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